君の矢印【完】


階段の途中に座り込んでたから、落ちたっていっても5段くらいだけど、それでも私が上に乗ってる状態だった。


「律くん、大丈夫?!」




くっついていた体を急いで、起こして、律くんの顔の横に両手をついて律くんに話す。



すごく辛そうな顔してる。



「大丈夫。」



律くんからの返事に、安心して涙が溢れてくる。



どうしてこんなに心配して守ってくれる、大好きな人に私はあんな酷いこと…



「ごめんね…私、あんなに酷いことっ」


その瞬間、律くんの腕が伸びて来て、私の腰に手を回し、引き寄せた。


ぎゅっと縮まる距離。




「もういいから。」




耳元で囁かれる優しい声。



「何も、されてないか?」



私の髪を撫でながら、目を見てそういってくる。



胸の奥がありえないくらい熱い…



…どうしてそんな大切な物を見るような目で、見てくるの?


< 64 / 70 >

この作品をシェア

pagetop