君の矢印【完】
階段の途中に座り込んでたから、落ちたっていっても5段くらいだけど、それでも私が上に乗ってる状態だった。
「律くん、大丈夫?!」
くっついていた体を急いで、起こして、律くんの顔の横に両手をついて律くんに話す。
すごく辛そうな顔してる。
「大丈夫。」
律くんからの返事に、安心して涙が溢れてくる。
どうしてこんなに心配して守ってくれる、大好きな人に私はあんな酷いこと…
「ごめんね…私、あんなに酷いことっ」
その瞬間、律くんの腕が伸びて来て、私の腰に手を回し、引き寄せた。
ぎゅっと縮まる距離。
「もういいから。」
耳元で囁かれる優しい声。
「何も、されてないか?」
私の髪を撫でながら、目を見てそういってくる。
胸の奥がありえないくらい熱い…
…どうしてそんな大切な物を見るような目で、見てくるの?