君の矢印【完】
その言葉に顔をあげると、呆気なく頭に手を添えられて、唇と唇がくっつく。
「り、…っ、く…んぁ、」
すぐ深くなるキスに、何も追いつかない。
わけがわからなくて、息苦しくて涙が溢れてくる。
その姿をみた律くんは、名残惜しそうにゆっくりと唇を離して、
「涙、そそるね。」
そうやって意地悪に口角をあげる。
そんなかっこいい顔したって、ダメなんだからっ。
これ以上ドキドキさせないでよ。
そうやって弄ばないでっ…
「…こ、こんなことっ、好きな人としかしちゃだめだよっ、」
「うん。そうだね。好きな人にしかしない。」
悪びれる様子もなく、笑う律くん。
どうしてそんなに余裕なの?
「だから、ダメじゃん!」
とんっと律くんの胸を叩いてみるけど、一ミリも応えてない様子。