君の矢印【完】
「なんでここまで言っても意味わかんないの?本当、悩ましいねいこいは。」
「っ、…そうだよね、ごめんね、律くんが辛い時に…」
そうだ。私も失恋したけど、律くんだって失恋したんだった。
そんな時にこんな迷惑かけて、こんな幼馴染嫌だよね。
「辛いね。かなり。」
困ったような顔に、心が重たくなる。
「…そうだよね…天音が目黒くんと付き合っちゃったのなんて、耐えられないよね…」
律くんにそんな顔をさせちゃうくらい、天音のことが好きなんだね。
「………………は?なんで今天音が出てくるわけ。」
目が点の律くん。
私が今まで知らなかったとでも思ってたのかな。
「え、だって律くんは天音のこと…ずっと、好きでしょ?」
「…そんなこと、いつ言った?」
「幼稚園の時…」
年中さんのバラ組教室の前で、そう告げられたよ…