イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す

 あの日。彰と里香子のことを聞いて、彰への片思いは告白する前に終わったことがわかった。
 まさか、その相手が親友の里香子だったなんて、神様ってやっぱり意地悪。里香子はお嬢様で私より美人だった。

 それなのに紫がはじめて好きな男の子まで奪っていった。

 目の前で仲良くしている二人を見たとき、紫の心が壊れてしまった。こんなに自分でも泣けるんだと思うくらい、涙が出続けて、足が痛いのを忘れてひきずりながら二駅分も歩いてしまった。

 そう思っただけで、涙が出てきた。点滴して水分いれたから、また涙が出てきちゃったじゃん。
 紫はそんなことを思いながらじっと先生を見つめた。

 手を動かしたら、先生が長い睫毛を震わせた。先生もイケメンだね。寝ていてもイケメンってどんなだよ。私の周りはいろんな美人やイケメンがあふれている。あーあ。疲れちゃった。

 紫はまたそんな風に思っていた。

< 139 / 311 >

この作品をシェア

pagetop