危険な彼に焦がれて
「気が向いたらね」
「うん、それでいいよ。また珠那ちゃんとお出かけできる日を楽しみにしてるね」
優しい笑顔だった。
その笑顔は優雅さんの母親である未珠さんを想起させる。
「そんなの楽しみにしなくていいから」
「じゃあ、俺が勝手に楽しみにしておくよ」
意味が分からない。
楽しみにするなと言ったのに、楽しみにしておくなんて。
「優雅さんって訳のわからないことを言うのね」
「珠那ちゃんだけだよ。俺にそういうこと言うのは」
「それ、ただ言えないだけじゃない?」
「あはは、そうなのかな」
今度は楽しそうに笑っている。
……確かに疲れたけど、優雅さんと出かけるの意外に楽しかったかもしれない、なんて。
優雅さんに言うのは何か癪だから言ってあげない。
「珠那ちゃん、どうしたの?」
「別に。ただ早く家に帰りたいなって思っただけ」
本心を隠すように素直じゃない言葉を吐き出した。