危険な彼に焦がれて
「チッ、舐めんじゃ、ねーよ!」
何かを仕掛けてきた気配がして振り返ると、男がナイフを私に向かって振りかざしているところだった。
つい反応が遅れ、ナイフを躱しきれなかった。
頬が切れ、血がつーっと一筋流れたのが分かる。
……油断していた。
「くそっ、避けんじゃ……」
「おい、そこまでにしろ」
後ろの方から見知った声が聞こえてきた。
振り向くと、そこにいたのは草薙さんだった。
「てめぇはさっき負けただろうが。エモノなんか使ってんじゃねぇ。それ以上するつもりなら、俺が相手になるぜ」
「草薙さん……」
「あ、誰だよ、お前。邪魔すんな!」
男が今度は草薙さんにナイフを向けたが、草薙さんは届く前にナイフを払った。
そして、一撃で男を沈めた。
……さすが。