見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
9:40AM
札幌の雑踏の中を手を繋いで歩く。

「着物の人もいるな。俺、乃愛の着物姿、見てみたいな」

「そう?うーん…何だか立派な着物に負けそうだなぁ…」

「そんな事ないよ、絶対可愛いって。あーマジで見てみたくなった。で、最後は俺が帯をシュルーってほどいて、乃愛があ~れ~って言うのな」

「あはは、それは実際の着物じゃ簡単にはいかないけどね」

「え、そうなの?」

「うん。帯を外すのも大変だし、中に肌襦袢と長襦袢ていう肌着みたいなのを着て、それも紐で縛るしね。まぁ浴衣ならできなくはないのかな?」

「ふーん……じゃあ浴衣でする」

「え、着物姿を見たいんじゃないの?」

「見たいけど『あ~れ~』もしたい」

「あははは」

ホテルを出て歩きながら話をしている内に、駅はもう目の前。
9時50分に駅の待ち合わせ場所に差し掛かると、私の家族が見えた。


「「あっ、おはようございます!伊織さん!姉ちゃん、おはよう!」」

「おはよう、はは、元気だね。お父さん、お母さん、おはようございます」

「やあ、おはよう。晴れてよかったなぁ」

和気あいあいと会話する伊織を見て思う。

いや…元気なのは伊織の方だよね……
あれからどれだけしたと…
私はもう一眠りしたいくらいなんだけど…


皆が乗ってきた車に乗り込み駅を出ると、着いたのはお父さんの会社の事業所の駐車場。

近いからいつもここに停めて歩いて神社にお参りに行くんだよね。



さすがに三が日は混んでるなぁ。

歩きながら、あふ…と手で口を隠しながらあくびをしたら弟達に気付かれた。

「なに姉ちゃん、昨日の夜は寝てないの?」
ニヤニヤしながら健斗が聞いてきた。

「違うわよ」
眠いのは昨夜ではなく今朝のせい。
なんて余計に言えないけど。

すると伊織が健斗と快斗を後ろからガシッと両腕に抱きかかえ、二人の耳元で何やら囁いている。
何を言ってるんだろ、と思って見ていたら、二人が私を見て、ニヤニヤしながら「姉ちゃん、変なこと聞いてごめーん」って言って、前を歩く両親の方へ進んでいった。

「…ねぇ伊織、二人に何て言ったの?」

「あぁ、そういうのは思ってても聞かないでおけよ、って」

「うん…それだけ?」

「まぁあとは、お前らの想像通りだけどな、って」

な!バラしてどーするの!
「もぅ…」

でも、そんな風に言っちゃう伊織が大好きなんだよね。
だから弟達も伊織に懐いちゃうんだろうな。




神社でお参りと散策をしたらお次はお昼の会食へ。

実家に寄っておじいちゃんとおばあちゃんを乗せ、向かうはお父さんの同級生がやっている料亭。
これも毎年の恒例行事。


「乃愛は毎年こういうお正月?」

「うん、そうだね。初詣と会食と。日にちはその年の用事によって変わるけど、だいたい二日か三日かな」

「へぇ。なんかいいよな、きちんとしたお正月で」

「ふふ、ありがとう」

会食してる時に、料亭のおじさんに伊織を紹介すると、おじさんもスポーツクラブの会員で、そこから話が盛り上がって賑やかな時間を過ごした。


食事を終えると、お父さんが私達をホテルに送ってくれた。

午後は札幌のスポーツクラブに弟達と14時に現地集合の予定。
弟達がジムで運動する姿を見るのも初めてだし、楽しみだな。
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