見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「さっきはお話の途中で席を外しちゃってごめんなさい」
戻ってきた麻依さんが申し訳なさそうに言う。
「いえ、全然です。あ、はるひちゃんのご機嫌がなおったみたいですね、ふふ」
「おかえり麻依。どれ、はるひちゃん、千紗おばちゃんのとこにおいで~」
北条さんが麻依さんからはるひちゃんを抱き上げると、初めてちゃんとお顔が見えた。
かっ…かわいい!
隣の伊織をバシバシはたいちゃった。
「マジで天使みたいだなー…いるんだな、こんなかわいい赤ちゃん。な」
「うんうん、ほんとにかわいい…」
1歳になるというはるひちゃんのほっぺを北条さんがつんつんもにもにと優しく触れると、はるひちゃんはニコニコして北条さんの手を掴もうとしてるのが微笑ましい。
旭くんは諒さんに抱っこされてる。
疲れて寝ちゃったのかな、ふふっ。
すると諒さんが私達に声をかけてくれた。
「麻依がお邪魔してたみたいで」
「諒くんの話してたんだよ」
「え、俺の?」
「そう」
北条さんが私達にコソッと「面白いものお見せしますよ」と囁きウインクした。
「ねぇ、諒くんは麻依のどこが好「全部ですよ、当たり前じゃないですか」
え!言い終わらない内の即答!
にしても答えるの早くない!?
ふふっ、しかも躊躇せず「全部」って言っちゃうのがすごい。
伊織を見ると、横を向いて肩を揺らしてる。
…ウケてるみたい…
「ちょ、諒ってば」
って困りながらも優しい顔を向ける麻依さんが可愛いな。
美人なのに可愛いって思う。
…なんかわかる気がするなぁ、お二人が本当に仲がいいっていうの。
「…俺も諒さんみたいにいつでも素直に言っちゃおうかな」
「え?…伊織?」
「逆に言わない理由、ある?俺はいつでも麻依が愛しくて堪らないから言わずにはいられないけど?」
ってドヤ顔の諒さん。
「……すげぇ、俺の理想がここにいる…」
「…伊織?」
「そうですよね……よし、俺も溺愛全開しよ!」
「…は?…え、伊織…どうしたの?」
「んー…覚醒しちゃったみたい、だね」
麻依さんが、ちょっと困った風に言う。
…けど、こう続けた。
「でも幸せだよ。いつも諒が素直に言ってくれるから…だから私も素直に言えるの。あ、たまに抑えてあげないといけない時もあるけどね、ふふっ」
そっか、麻依さんも最初から自然と素直になれてたわけじゃないんだ…
「幸せなんですね、麻依さん」
「うん、全部諒のおかげ。諒が私の人生を幸せなものに変えてくれたの」
「俺の人生を幸せなものに変えてくれたのは麻依だけどね」
すかさずドヤ顔で返す諒さん。
あ、さっき北条さんが言ってた通りだ。
「私も…伊織のおかげで人生が変わったんです。…それまで知らなかった幸せに出逢えました」
「俺も同じ。乃愛と出逢って…初めて本当の自分が出せたから…俺は絶対乃愛を離さない。な?」
伊織が私の頭を撫でて言う。
すると諒さんと麻依さんが顔を見合わせてフッと微笑んだ。
「いいご夫婦になるよね」
「そうだな、俺達みたいに幸せになれるよな」
「俺達みたいにって、何か上から目線じゃない?」
「ん?だって幸せだろ?俺は毎日幸せだけど、麻依は違うの?」
「…ふふ、そうだね。私も毎日幸せだよ」
「だろ?」
ってやっぱりドヤ顔の諒さんと、そんな諒さんを優しく見る麻依さんがほんとに素敵で眩しく映る。
「あ、ほんとに長々とお邪魔してしまってごめんなさい。まだ相談の途中なんですよね」
麻依さんがまた申し訳なさそうに言うけど。
「いえ、私、こうしてお話できてすごく嬉しかったです。何て言うか、とても大事なことに気付かせてもらいました」
「ほんとにな。俺、諒さんのこと師匠って呼ぼうかな」
「俺が師匠?」
「はい。すげぇカッコいいです。カッコつけないカッコよさ、みたいな」
「あ、そうだね。諒はカッコつけないもんね。いつも素だから」
「確かに。諒くんがカッコつけたとこって見たことないわ」
あぁ……伊織の思ってることが何となくわかった。
伊織はずっと無意識で甘えたい自分を押し込めて、年上の彼女にカッコつけてたんだもんね。
「ふ、ありがとう。でも俺は麻依だからこうなれたんだよ。それまでは誰にも心を開けなかったからね。…伊織くんもそうなんじゃない?乃愛さんだから自分が出せたんでしょ?…大丈夫。俺を師匠にしなくても充分カッコいいと思うよ」
って優しい顔で伊織に話す諒さん、素敵だなぁ。
伊織も笑顔で「ありがとうございます」って答えてる。
「伊織…私、ここで結婚式したいんだけど、いいかな」
「もちろん。俺もそうしたい。つーか、もう他でって考えらんねぇんだけど」
「あはは、私も。絶対ここがいいって思ったの。北条さん、まだ日にちとかは決めてないですけど…いいですか?」
「ありがとうございます!えぇ、大丈夫ですよ。ただやはり先着順になってしまうので、ご希望があれば仮で押さえておいた方がいいかとは思いますが…」
「そっか、それもそうですね。伊織、どうしようか」
「そうだな、じゃあ日は近い内に決めて電話するのでもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ!ではお日にちはお電話で相談しましょう!」
「ありがとうございます!よかったね、伊織」
「だな。すげぇワクワクするな」
「ふふ、ワクワクするって、諒と同じだね」
「そうだな。伊織くん、男でも決めるのとかほんと楽しいから。俺、麻依とまたやりたいくらいだし」
「マジっすか。はは、すげぇ楽しみ!」
「麻依も乃愛さんにアドバイスできるんじゃない?」
「そうだね。でもアドバイスらしいことが言えるかどうか…」
「あの、ご迷惑でなかったらお願いしたいです。周りに相談できる人もいないし、何よりこちらで結婚式された先輩なので、お話をお聞きしたいです!」
「じゃあ私でよければ。ふふっ」
「ありがとうございます!」
「よかったな、乃愛」
「うん!すごく嬉しい!」
それから麻依さんと連絡先を交換していると、隣で伊織も諒さんと連絡先を教えあっていた。
伊織も嬉しそう。ふふ。
伊織の周りで年上の男の人って、お兄さん達くらいだもんね。
その後、北条さんから今後のお話を聞いたりパンフレットや書類をもらい、式場のエントランスを出た。