見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
乾杯のグラスには薄いピンク色のシャンパン。
わぁ…かわいくてキレイな色。
「乃愛、27歳の誕生日おめでとう。そして、俺達の結婚に、乾杯」
「ありがとう、乾杯」
グラスが触れないように近付けると、ふわりと桃の香りが漂う。
飲んでみると甘くて美味しい。
「本当にありがとう、伊織。でも私の誕生日を大事な入籍の日にするなんて…本当によかったの?」
シャンパンを飲み干した伊織がグラスを置いて私を見つめる。
「乃愛、入籍をこの日にしたのはちゃんと意味があるんだ」
「意味?」
「ん。…乃愛は一年前の誕生日に…元旦那の浮気を目の当たりにして…最悪の誕生日だっただろ?だから、誕生日を幸せなものに上書きしたかった。ってのが一つ目」
「うん…」
「二つ目は、俺達が出逢ったのも一年前のこの日だろ。俺達の今はそこから始まったからな。…今まで記念日とかどうでもよくて一度も考えたことなかったのに、乃愛との記念日は大事にしたいって思ってさ。それで、付き合い始めた日よりも出逢った日の方が俺達には重要な気がして」
「うん……」
「乃愛と俺も、出逢うべくして出逢った、と思うから」
「う…ん………」
涙が止まらない……
「そこまで…考えてくれて…いたんだね……ありがとう、伊織……嬉しすぎて……何て言ったらいいか……」
「ん、喜んでもらえたなら安心したよ。結局全部俺の独りよがりな行動だったからな」
「ううん…こんなに嬉しいサプライズなんて初めて……ありがとう」
「ははっ、よかった、マジで。… じゃあ食べるか」
既に置かれているオードブルに手をつける。
「俺さ、来てたとはいえコース料理ってあんま得意じゃねえんだ。だからマナーとか間違ったらごめんな」
コソッとそんなことを言う伊織の優しさに胸が暖かくなる。
「私も大学の時の実習で習ったくらいだから間違えちゃうかも、ふふっ」
「そしたら店員に〝アイツらお似合いだな〞って言われるかな、ははは」
「それはそれでいいんじゃない?」
「いいのか?マナーダメダメカップルの烙印をおされるんだぞ?」
「烙印て、あはは。でも私は伊織とならいいよ」
なんてくだらない話ばかりでもすごく楽しくて、気付けばデザートが手前に置かれている。
「もうデザート?お喋りしながら食べてたらあっという間だったね」
「そうだな。楽しいのと美味いのとでマナーなんてすっかり忘れてた。でも楽しく食べるのが一番正しいマナーな気がするけどな」
「ふふ、そうだね」
アイスクリームを口に入れると、バニラの濃厚な甘さが口いっぱいに広がる。
んー、美味しい…
あ、そうだ。
「伊織、私の仕事だけど、今月いっぱいで辞められることになったよ。有給消化があるから、出勤はあと2週間位だけどね。でも…ほんとに私は働かなくていいの?」
「ありがとう。うん、今のところ収入は心配ないから安心して。ていうより、乃愛は養ってもらうだけになるのが引っ掛かるんだろ?」
「う、うん…」
何でわかったんだろう…
「乃愛は真面目だもんな。働かざる者食うべからず、って思ってるだろ」
「うん…」
その通りです…
「俺はできるだけ一緒にいたいんだ。前に言った通り、俺の仕事は休みや時間が不規則だったりするから、すれ違いの生活になるのが嫌なんだよ」
「うん」
「だからね、俺のワガママに付き合わせてしまうんだから、俺が養うのは当然のことなんだよ。それに…」
「それに?」
「…今年の夏……アメリカに行くことになると思う」
「アメリカに?え…どれくらい?」
「3か月、長くても4か月くらいかな」
「そうなんだ…」
「それでね、乃愛。…俺と一緒に行ってほしいんだ、アメリカに」
「…私も?」
「うん。…実は、仕事を辞めてもらいたかった理由はこれもあって…」
そっか。それで横浜で仕事の話を切り出した時に…怖かったんだね。
「そうだったんだね……うん、伊織がいいなら一緒に行くよ、私」
「ほんと?本当に一緒に行ってくれる?」
「うん、足手まといにならなければ…」
「まさか!そんなわけないじゃん!……はぁ…よかった…すげぇ嬉しい…」
「伊織は英語が得意なの?」
「んー、まぁ何とか通じる程度?大学の時、少しだけアメリカ行ってたことがあって」
「えっ、留学してたの?」
「って言うと聞こえはいいけど、遊びに行ってただけな、ははは」
「そうなんだぁ……すごい」
「乃愛は?英語は得意?」
「うーん…得意と言えるほどではないけど…たまに仕事で使うから日常会話程度なら…できるかな…?」
「そっか、それなら行く前に少し英会話教室で慣らすくらいで大丈夫そうだな」
「でもどうしてアメリカに?」
「あっそうだった、それ言ってなかったな。ほら、北海道にデカい施設を作るって件あっただろ?」
「うん、うちのお父さんの会社が関わることになったのだよね」
「そう、それに関係する話でさ。俺がアメリカで研修したいってのは前に話した通りで昔からの希望なんだけど、その施設に向こうのいいところを何か取り入れられねぇかな、って思って親父に提言したらさ、じゃあ仕事として一度見てこいって言われたんだよ。もちろん乃愛も一緒に連れて行きたいって話してあるし、親父もそのつもりでいる」
「そうだったんだ、お仕事なんだね」
「あぁ。 だから自腹で行くわけじゃないから蓄えは減らないし、給料も出るし、ありがたい話なんだよな」
「ふふ、それはよかったね」
「だからさ、6月の結婚式が終わってからもバタバタするけどごめんな」
「ううん、私は何も。それより伊織の方が何かと大変だよね。私はそんな忙しい伊織のサポートを奥さんとして頑張るからね!ふふっ」
「乃愛…俺の勝手なお願いなのに、こんなに前向きに捉えてくれて、サポートしてくれるって……マジでまた泣きそう」
「だって、大好きなだんな様だもん。私、全然頼りないけど、伊織との生活なら何でも頑張れるから、ふふ」
「乃愛……明日仕事だけど、今日は寝かさないからな」
いっ、いきなりそっちの話になる?
「や…ちゃんと寝ようね」
「やだ。ずっと離さないから」
食事の時に頂いたワインのせいもあるかもしれないけど、伊織の眼差しが少し色気を伴って……私もドキドキしてきた…
あ。
「そういえば、公佳さんもアメリカにいる頃だよね?向こうで会えるかな?」
パクリと残りのバニラアイスを口に入れる。ん、冷た。
「はぁ…何で乃愛はそう話をすり替えるかな…」
じとー…って目で見られちゃったけど、気になったんだもん。
「ニューヨークだっけ、公佳さん。でも同じ国内とはいえ広ーいアメリカだしなぁ、遠いかな…」
「俺の方は何箇所か候補地が上がってるけど、まだ決まってないんだよな。まぁどこにしたって行けなくはないだろうから、一度は会いに行くか?向こうも結婚してるかもしれねぇしな」
「うんっ、行きたい!向こうで会えるなんて、何かすごいよね!」
「…俺と一緒に行くことより、公佳と会う方を楽しみにしてない?」
あっ、またジト目。
「ううん、そんなこ「決めた。今日はぜってぇ寝かさねぇ」
「ひぇっ」
思わず変な声が出ちゃったよ…
「あぁ、覚悟しとけよ?なんたって新婚初夜だもんな、たっぷり俺の愛を刻みこんでやるから」
色気をのせた伊織のまっすぐな目…
あっ、そうだった。
入籍したんだもんね。
新婚初夜、かぁ…なんて甘い響き……
「…そうだね、私もいっぱい伊織を愛したいな、ふふ」
私もワインのせいか、いつもなら恥ずかしくて言えない言葉がさらりと出てきた。
妖艶な目が一転し、パチパチと瞬きをする伊織が、フッと笑う。
「それはマジで俺が寝られなくなったりしてな」
「ふふっ、伊織も覚悟してね?」
「あぁ、楽しみにしてる」
わぁ…かわいくてキレイな色。
「乃愛、27歳の誕生日おめでとう。そして、俺達の結婚に、乾杯」
「ありがとう、乾杯」
グラスが触れないように近付けると、ふわりと桃の香りが漂う。
飲んでみると甘くて美味しい。
「本当にありがとう、伊織。でも私の誕生日を大事な入籍の日にするなんて…本当によかったの?」
シャンパンを飲み干した伊織がグラスを置いて私を見つめる。
「乃愛、入籍をこの日にしたのはちゃんと意味があるんだ」
「意味?」
「ん。…乃愛は一年前の誕生日に…元旦那の浮気を目の当たりにして…最悪の誕生日だっただろ?だから、誕生日を幸せなものに上書きしたかった。ってのが一つ目」
「うん…」
「二つ目は、俺達が出逢ったのも一年前のこの日だろ。俺達の今はそこから始まったからな。…今まで記念日とかどうでもよくて一度も考えたことなかったのに、乃愛との記念日は大事にしたいって思ってさ。それで、付き合い始めた日よりも出逢った日の方が俺達には重要な気がして」
「うん……」
「乃愛と俺も、出逢うべくして出逢った、と思うから」
「う…ん………」
涙が止まらない……
「そこまで…考えてくれて…いたんだね……ありがとう、伊織……嬉しすぎて……何て言ったらいいか……」
「ん、喜んでもらえたなら安心したよ。結局全部俺の独りよがりな行動だったからな」
「ううん…こんなに嬉しいサプライズなんて初めて……ありがとう」
「ははっ、よかった、マジで。… じゃあ食べるか」
既に置かれているオードブルに手をつける。
「俺さ、来てたとはいえコース料理ってあんま得意じゃねえんだ。だからマナーとか間違ったらごめんな」
コソッとそんなことを言う伊織の優しさに胸が暖かくなる。
「私も大学の時の実習で習ったくらいだから間違えちゃうかも、ふふっ」
「そしたら店員に〝アイツらお似合いだな〞って言われるかな、ははは」
「それはそれでいいんじゃない?」
「いいのか?マナーダメダメカップルの烙印をおされるんだぞ?」
「烙印て、あはは。でも私は伊織とならいいよ」
なんてくだらない話ばかりでもすごく楽しくて、気付けばデザートが手前に置かれている。
「もうデザート?お喋りしながら食べてたらあっという間だったね」
「そうだな。楽しいのと美味いのとでマナーなんてすっかり忘れてた。でも楽しく食べるのが一番正しいマナーな気がするけどな」
「ふふ、そうだね」
アイスクリームを口に入れると、バニラの濃厚な甘さが口いっぱいに広がる。
んー、美味しい…
あ、そうだ。
「伊織、私の仕事だけど、今月いっぱいで辞められることになったよ。有給消化があるから、出勤はあと2週間位だけどね。でも…ほんとに私は働かなくていいの?」
「ありがとう。うん、今のところ収入は心配ないから安心して。ていうより、乃愛は養ってもらうだけになるのが引っ掛かるんだろ?」
「う、うん…」
何でわかったんだろう…
「乃愛は真面目だもんな。働かざる者食うべからず、って思ってるだろ」
「うん…」
その通りです…
「俺はできるだけ一緒にいたいんだ。前に言った通り、俺の仕事は休みや時間が不規則だったりするから、すれ違いの生活になるのが嫌なんだよ」
「うん」
「だからね、俺のワガママに付き合わせてしまうんだから、俺が養うのは当然のことなんだよ。それに…」
「それに?」
「…今年の夏……アメリカに行くことになると思う」
「アメリカに?え…どれくらい?」
「3か月、長くても4か月くらいかな」
「そうなんだ…」
「それでね、乃愛。…俺と一緒に行ってほしいんだ、アメリカに」
「…私も?」
「うん。…実は、仕事を辞めてもらいたかった理由はこれもあって…」
そっか。それで横浜で仕事の話を切り出した時に…怖かったんだね。
「そうだったんだね……うん、伊織がいいなら一緒に行くよ、私」
「ほんと?本当に一緒に行ってくれる?」
「うん、足手まといにならなければ…」
「まさか!そんなわけないじゃん!……はぁ…よかった…すげぇ嬉しい…」
「伊織は英語が得意なの?」
「んー、まぁ何とか通じる程度?大学の時、少しだけアメリカ行ってたことがあって」
「えっ、留学してたの?」
「って言うと聞こえはいいけど、遊びに行ってただけな、ははは」
「そうなんだぁ……すごい」
「乃愛は?英語は得意?」
「うーん…得意と言えるほどではないけど…たまに仕事で使うから日常会話程度なら…できるかな…?」
「そっか、それなら行く前に少し英会話教室で慣らすくらいで大丈夫そうだな」
「でもどうしてアメリカに?」
「あっそうだった、それ言ってなかったな。ほら、北海道にデカい施設を作るって件あっただろ?」
「うん、うちのお父さんの会社が関わることになったのだよね」
「そう、それに関係する話でさ。俺がアメリカで研修したいってのは前に話した通りで昔からの希望なんだけど、その施設に向こうのいいところを何か取り入れられねぇかな、って思って親父に提言したらさ、じゃあ仕事として一度見てこいって言われたんだよ。もちろん乃愛も一緒に連れて行きたいって話してあるし、親父もそのつもりでいる」
「そうだったんだ、お仕事なんだね」
「あぁ。 だから自腹で行くわけじゃないから蓄えは減らないし、給料も出るし、ありがたい話なんだよな」
「ふふ、それはよかったね」
「だからさ、6月の結婚式が終わってからもバタバタするけどごめんな」
「ううん、私は何も。それより伊織の方が何かと大変だよね。私はそんな忙しい伊織のサポートを奥さんとして頑張るからね!ふふっ」
「乃愛…俺の勝手なお願いなのに、こんなに前向きに捉えてくれて、サポートしてくれるって……マジでまた泣きそう」
「だって、大好きなだんな様だもん。私、全然頼りないけど、伊織との生活なら何でも頑張れるから、ふふ」
「乃愛……明日仕事だけど、今日は寝かさないからな」
いっ、いきなりそっちの話になる?
「や…ちゃんと寝ようね」
「やだ。ずっと離さないから」
食事の時に頂いたワインのせいもあるかもしれないけど、伊織の眼差しが少し色気を伴って……私もドキドキしてきた…
あ。
「そういえば、公佳さんもアメリカにいる頃だよね?向こうで会えるかな?」
パクリと残りのバニラアイスを口に入れる。ん、冷た。
「はぁ…何で乃愛はそう話をすり替えるかな…」
じとー…って目で見られちゃったけど、気になったんだもん。
「ニューヨークだっけ、公佳さん。でも同じ国内とはいえ広ーいアメリカだしなぁ、遠いかな…」
「俺の方は何箇所か候補地が上がってるけど、まだ決まってないんだよな。まぁどこにしたって行けなくはないだろうから、一度は会いに行くか?向こうも結婚してるかもしれねぇしな」
「うんっ、行きたい!向こうで会えるなんて、何かすごいよね!」
「…俺と一緒に行くことより、公佳と会う方を楽しみにしてない?」
あっ、またジト目。
「ううん、そんなこ「決めた。今日はぜってぇ寝かさねぇ」
「ひぇっ」
思わず変な声が出ちゃったよ…
「あぁ、覚悟しとけよ?なんたって新婚初夜だもんな、たっぷり俺の愛を刻みこんでやるから」
色気をのせた伊織のまっすぐな目…
あっ、そうだった。
入籍したんだもんね。
新婚初夜、かぁ…なんて甘い響き……
「…そうだね、私もいっぱい伊織を愛したいな、ふふ」
私もワインのせいか、いつもなら恥ずかしくて言えない言葉がさらりと出てきた。
妖艶な目が一転し、パチパチと瞬きをする伊織が、フッと笑う。
「それはマジで俺が寝られなくなったりしてな」
「ふふっ、伊織も覚悟してね?」
「あぁ、楽しみにしてる」