見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~

昔のホームステイ先で一波瀾

翌日、車を小一時間走らせ着いたのが、約8年ぶりのディランの家。

車から降りるとディラン家族が駆け寄ってきて俺達を歓迎してくれた。

『本当にイオリだ!元気だったか?』
『まぁ!相変わらずハンサムねぇ!』
『久しぶり!すっかり大人の男だな!』

するとディランの奥さんのノラが乃愛に目を移した。

『まーぁ!あなたがイオリの奥さんなのね!何て可愛らしいの!』

『はじめまして。伊織の妻の乃愛といいます』

『ノアっていうの?私はノラよ。似てるわね!あぁ、可愛いわぁ!』

そう言いながらノラはふくよかな体で乃愛をハグする。

乃愛はこっちの人達の挨拶に慣れたとはいえ、やはり面食らっている。

というのもノラは大の日本びいきで、俺がお世話になっていた時も日本の文化に興味津々で、そういえば日本人の女の子をカワイイ!と言っていたな、と思い出した。
まぁ乃愛は特に可愛いからな。
こうなるんじゃないかとは思っていたけど。


『僕はマシュー、よろしく』

『乃愛です。よろしくお願いします』

マシューはディランの息子で俺と同い年。
…当時からイケメンだったけど、大人になって更にいい男になったな。
最近バツイチになったってディランから聞いたけど……
乃愛に興味を持つなよ…と祈る。




昼飯をご馳走になって窓の外を見たら久しぶりにブラブラしたくなった。

『俺、散歩行ってくるけど、乃愛も一緒に行くか?』

乃愛に聞いたんだけど、英語で話したからか、ノラが返事をする。

『ノアは私とお話してるから一人で行ってらっしゃいな』
ノラはよほど乃愛を気に入ったのか離そうとしない。

『乃愛、どうする?』

『あ、えっと…じゃあノラさんとお話してるね』

そう笑顔で言われたから、俺は『適当にブラブラしてくるだけだからすぐ戻るな』っつって出掛けた。



8年ぶりだからもちろん変わったところもあるけど、でも空気や町の様子は懐かしいな。

ここは海に近く、よく海岸にも行ってたのを思い出して、そっちの方へも行ってみた。


……あぁ…久しぶりだな……


…やっぱ乃愛を連れてくるんだった。
一緒に見たかったな、俺が過ごしたこの町と風景…

ん、ノラには悪いけど、やっぱ連れてこよう。

そう思い、ディラン家に戻るために踵を返した。
< 182 / 260 >

この作品をシェア

pagetop