見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
もう少しでディラン家に着くところで、どこからか『イオリ?』と女の声がした。
え?俺?
ここで、俺を知る女……?
声のした方を見ると、日本で言うところのグラマーな体つきをした、ブロンドの長い髪をなびかせた女性しかいない。
…呼んだのはこいつか?つーか誰だ?昔一緒に遊んだマシューの友達か?
怪訝な顔をすると、その女が嬉しそうに叫んだ。
『やっぱりイオリよね!私よ、クロエ!』
『クロエ…?…あぁ!え、お前、ディラン家の隣のクロエか!?』
『そうよ!イオリ!会いたかったわ!』
と、クロエが俺に抱きついてきた。
挨拶程度のハグならまだしも、それ以上はちょっと待ってくれ、と思い、やんわり離す。
『ほんとにクロエか…お前、変わったなぁ。あんなにおてんば娘だったのに。ショートヘアじゃないからわからなかったよ、ハハハ』
クロエはディラン家の隣の家の娘で、俺が22歳の時、14歳のバスケ少女だった。
細身で、同年代の中でも背が高く、髪もベリーショートでキリッとした顔は男の子と間違われる事も多かった。
最初、俺も少年と間違えたし。
つーか、少女と知っても少年にしか思えなくて、普通に弟扱いしてた。
今考えたら失礼な事してたけど。
それが8年経ったら大人の女性の外見になっていて驚いた。
『どうしたの?こんなところで。あっ!私をお嫁さんに貰いに来たのね?』
『ハハハ、仕事でフロリダに来てるんだ。それで今日はディランのとこに遊びに来てて』
『だったら私を連れて帰ってよ!お嫁さんになってあげるわ!』
『いや、もう奥さんはいるんだ。今日も一緒に来てる。ノラが彼女を気に入って離さなくて困ってるよ、ハハハ』
『えっ……そうなの』
『あぁ、あとで紹介するよ、俺の自慢の奥さん。すげぇ可愛いんだ。あ、おじさんとおばさんは元気?ちょこっと挨拶していこうかな』
『えっえぇ、元気よ。じゃあ家に来てよ!』
ディラン家との合同バーベキューとかでクロエの両親にもお世話になったからな。つか俺の事、覚えてくれてるといいけど。
こうしてディラン家へ戻る前に挨拶に寄った。
そうか、あのクロエもハタチを過ぎたのか。
でもこうして話してると全然変わってねぇな、まだまだ弟みたいだ。
つったら怒られるかな、ははは。