見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
『うまい!何これ、こんなにうまいピザ、初めて食べた!』
『んー!すごくおいしい!』

『うちの自慢のピザ釜で焼いた特製ピザだもの!それにみんなで一生懸命作ったのよ?おいしいはずだわ!』
ノラが笑顔で得意気に言う。


うまいのは、青空の下、みんなで食べるからってのもあるんだろうな。

まぁ、まさかこんな顔ぶれで昼飯を食うとは思わなかったけど。



乃愛はさっきからソフィアとステラの子供達と食べながら話してる。

…何やら日本語を教えてるっぽい。
ふ、乃愛は国籍問わずで子どもに好かれるんだな。


俺も乃愛の隣を離れてマシューやソフィア達の旦那と話してたけど、乃愛が子供達から解放されたから戻ることにした。

すると、俺より一足先にクロエが乃愛の元へ。
俺も急いで戻るが、既にクロエは乃愛の隣に座り、話しかけていた。


『……本当に昨日は酷いことをして…ごめんなさい』

『いいのよ、本当に気にしていないから』

『私……昔、イオリのこと…好きだったの。当時の私はまだ幼くて、淡い恋心だったけど』

「えぇ」

『あの頃は私は男の子として見られていたから、いつかイオリに会えたら、女らしくなった私を見てもらいたかった……女性として認めてもらいたかったの』

「…うん」

『それだけだったのに……私……イオリにも、あなたにも酷いことをした。私、昨日あなたを見た瞬間〝負けた〞って思ったの。…だから…カッとなって…思ってもないことまで口走ってしまった…』

『…何で〝負けた〞なの?私はあなたはとても魅力的に思えるけど』

『ノア……あなたは優しいね。…私にも理由はわからない。そうね…直感でそう感じたの』

『そう…』

『でもその直感は当たってた。ここに来てからあなたを見ていたけど、何から何まで勝てないと思ったわ。それにイオリの目にはノアしか映っていないしね』

『当たり前だ。乃愛は俺が唯一愛する女性だからな』

二人の背後から答えると、二人とも俺の登場に驚いていた。


『イオリは本当に素敵な人を見つけたね。私と同じくらい…いえ、私より年下よね?なのにすごくしっかりしてるし』

その言葉に、乃愛が俺をチラと見て、ふっ、と苦笑した。

『あのね…私、27歳なの』

言いづらそうに乃愛が白状すると、クロエの目がまん丸になった。

『…27 !?…日本人は若く見えるって言うけど……信じられない……』

『乃愛は可愛いからそれでいいんだ』

『プッ……アハハ、そうね、イオリの言う通りだわ。それと、ノアはとてもスタイルがいいのね、羨ましいわ。私はどうしてこんなになっちゃったんだろう……ノアの様なスレンダーのままでいたかったのに……』

『私は、あなたのスタイルもとても素敵だと思うけど?』

『ありがとう。…でも…付き合ってきた男はみんな…私のカラダ目当てだったわ。私がセックスを断ると嫌な顔して…つまらない女とか、騙されたとか…。結局男ってのはこういうカラダの女が好きで…だから、このカラダで迫れば男は誰でも誘いにのってくるものだと思ってた』

『じゃあ何だ、俺をそんな男共と同じだと思ってたのか?』

『…ゴメン。でもすぐに違うってわかったから…だから余計にイオリが素敵だと思ったのよ。私の周りにそんな人いなかったから。…私は…本当の私を好きになってもらいたいのに……私はこのカラダじゃなければ魅力がないんじゃないか、って……』

と、クロエが俯いた。
こいつもこいつで苦労してんだな…


すると乃愛がクロエの手を取って語りかけた。

『…クロエ、本当のあなたを見て、大事にしてくれる人がいつかきっと現れるわ。でも、あなたのその体もあなたの魅力だから、無理に変わらなくていいと思うの。だから…うまく言えないけど…あなたはあなたのままで素敵だから、自分を大事にしてね』

『ノア……ありがとう………』
クロエが涙を流しながら乃愛を抱き締めた。

…まぁ女だから許すけど。


つーか、そんなに悩んでたのか…
昨日、あんなにキツく言ったのは悪かったかな…

『クロエ、昨日はキツい言い方をして悪かったな』

『…ううん、ハッキリ言ってもらって良かった。……本当にあなた達は優しくてお似合いの夫婦ね』

その言葉に、俺と乃愛が同時に顔を見あい、二人でフッと笑む。

『ふふっ、ありがとう。嬉しい』
『ありがとな、クロエ』



『じゃあそろそろ片付けるわよ~』

家屋から顔を出したノラの一声で全員が一斉に片付けに取り掛かった。
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