見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
翌日から私は伊織さんのお迎えをしている。

時間がある日は夕飯の支度をしてから迎えに行ったりして。

それを伊織さんは「うわー…マジで夫婦みたいじゃん!」て喜んでくれるから嬉しいんだ。ふふっ。


そんな日が1週間位経った金曜日。

いつも通りに迎えに行くと、帰り支度を整えた伊織さんが受付の辺りで一人の女性に捕まっていた。

その光景はたまに見るけど、この女性が伊織さんに好意を寄せているのはあからさまな態度でわかった。

クリスマスの飾り付けがされた自動ドアの外から、中の様子をこそっと伺う。

話しながらその女性は伊織さんに近づくんだけど、その分、伊織さんはしれっと離れていた。

お客様だから嫌な顔もできなくて、伊織さんも困ってるみたい。

外にいるのも寒いし、いつ出ていこうかと様子を伺っていると、その女性の顔が見えた。

あれは……え…?

…は…葉月!?

どうしてここに……!?


胸に嫌な動悸がして…足がガクガクする。

その場にいられず、震える足で車に戻った。

痛いほど強い鼓動の胸を押さえ、車から入口を見ていたら、葉月が一人で出てきて、近くに停まっていたタクシーに乗り込み、去っていった。

テールランプが見えなくなるのを見届けてから車から出て、クラブの入口へ向かった。


「あっ乃愛、遅かったね。今、大変だったんだよ……って乃愛、どうした!?すごい顔色悪いぞ、大丈夫か!?」

伊織さんがすごく驚いてる…
私、そんなに酷い顔してるのかな…

「…とりあえず車に乗ってもらえますか?」

「あ、あぁ…わかった」


二人で車に乗ったところで、すぐに車を出し、後ろに車が着いてこないか確認しながら、伊織さんのマンションに戻った。
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