婚約破棄された公爵令嬢は冷徹国王の溺愛を信じない
 ルチアが身にまとっているドレスは、なめらかな深紅の生地が胸元から女性らしい体つきにぴったりと沿い、腰からはフリルをふんだんに使って大きく広がっている。
 赤褐色の髪はきっちりと結い上げられ、澄んだ青い瞳を、美しいがきつい印象に強めていた。
 王城への到着前の最後の休憩で、バランド王国側に舐められないようにと気合いを入れたのが失敗だったようだ。
「それだけ着飾っていれば十分だろう」
「皆も疲れていますし──」
「式はすぐに終わる。宴をする時間はないから、式の後に休めばいい。それに私は明日からしばらく視察で城を留守にするため、あなたもしっかり休めるだろう」
「ですが、彼らには休む暇がありません」
「それなら休ませればいいだろう? それとも式に参列までさせるのか? ああ、あなたの世話をしなければならないのか」
 その言葉はジュストがルチアの噂を信じていることを裏付けた。
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