悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 その後もフレッドと毎日のように街に出ては、聖女の情報を集めた。あれからクリストファー殿下も見かけることがなくて、よほど呪いか効果的だったようだ。

 聖女は帝都の街でよく見かけられていて、ピンクブロンドの髪に湖のような水色の瞳。スタイルがよく、いつも若くて見目のいい神官を連れて歩いているということだった。

 身なりのいい人には愛想良く、貧しい人には愛想が悪くて街の人たちの評判はそこそこだ。さらに話し方が独特で、聞くだけで聖女がいるとわかるほど特徴的らしい。

 外見的特徴や性格の傾向くらいしか集められなくて、ミカのお茶会に期待がかかる。皇女のお茶会が開かれた翌日、早速三人で集まった。

「お姉ちゃん、お茶会で聖女の情報が手に入ったわ!」
「すごい! さすがミカね……!」

 お茶会で聞いた話では、やはり出身はバスティア王国の平民で間違いないが、ただ一時心を病んでいたそうだ。

 なんでも違う世界から来たと言い張り両親もほとほと困り果て、流行病にかかって一週間も寝込んでいたことが原因らしい。側近の神官がそう話していたのを聞いたご令嬢がいた。

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