悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「異世界から……もしかして、聖女も転生してきたのかな?」
「うん、その可能性は高いと思う。わたしもお姉ちゃんも転生してきてから原作にない動きをしているでしょう?」
「そうね、記憶が戻って、なんとかしなくちゃって……だから聖女は帝国に来た?」
「かもしれない」

 それならなんらかの目的があって帝国に来た可能性が高い。聖女はいずれ邪神を復活させる邪教信者として倒されるから、その回避のためだろうか? もしそうだとしたら、私は力になってあげたい。

「もし転生者なら、わたしたちみたいに破滅回避したいのかも」
「そうね、聖女にしてみたらバッドエンドだものね」
「なんとかその辺りを確認できないかなあ……」
「それなら直接会ってみればいい」

 フレッドの言葉に私とミカが視線を向ける。
 聖女は本来、この世界では特別な存在だ。聖なる力を持ち、大地や水を清め民の暮らしを大きく潤す。

 そして、取り込んだ汚れを神々への祈りで浄化させるのだ。だから各国の国王や皇帝でも敬意を払い、聖女は教会が保護する決まりになっている。

 万が一にも聖女が害されてはいけないので常に神官が仕えていて、いくら貴族や王族、皇族だとしても容易に近づけない。そんな聖女だから狙って会うのは難しいのだ。

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