悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「実は聖女から父上に謁見申請が来ているんだ。その場に俺も同席を求められていて、皇太子として出席するように言われている。聖女が来るのは明後日だ」

 もしかして、晩餐会の後で話していたことはこのことだったのだろうか。だけど、ただ聖女が謁見するということだけで、ひと晩も話し合うことがあるのかと疑問が残る。

「わたしは聞かされていないから、皇女は必要ないってこと?」
「ミカは聖女様のご来訪だから、礼儀を尽くしたいと言えば問題ない。ユーリは俺の婚約者候補として同席させる」
「でも、あくまで婚約者候補だから理由づけが弱くないかしら?」
「それは未来の皇太子妃になる女性だと押し切るから大丈夫だ」
「はは……そうですか」

 自信満々のフレッドが心強いけど、あまり外堀が埋まるようなことしてほしくない。今回は贅沢を言えないから仕方ないけれど。

 こうして聖女に会うための準備を一日で整えるべく、慌ただしく動き回った。 



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