悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。

20話 勇者の末裔

 レイチェル様は途中にある農家を見つけると馬を買い取り、護衛に先に行かせて事情を書いた手紙を渡すよう指示した。

 農家の主人はその額に驚き腰を抜かしていたけど、豪快なお買い物はレイチェル様らしい。価値があると思ったものには相応の対価を支払うのだ。おかげで私の化粧水もいい条件で契約してもらえている。

 聞けばレイチェル様はコンラッド領に取引先があり、今回は新規商品の発掘のため王都からやってきていたそうだ。本当にタイミングが少しでもずれていたら、会っていなかった。

「これで問題ありませんわ」
「あ、ところで、クリストファー殿下はどのような処遇になったのですか?」
「ああ、あの方ね。なにか条件をつけられたようですけど、それをクリアできなくて廃嫡になりましたわ」
「そうでしたか。まあ、それは仕方ないですね。では離宮にて過ごされているのですか?」

 私はクリストファー殿下がちゃんと国に戻っていることを確認したかった。もう私に近づくことはできないだろけど、それでも居場所を把握しておきたかった。

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