悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。

21話 俺の愛しい人(フレッド視点)※前半はへレーナ視点

     * * *



 聖女へレーナの私が女帝へレーナになって、十日が過ぎた。

 あれから皇后も黒い檻に入れて、人質として見せ物にしている。最初は抵抗してきた騎士や貴族たちも、闇の力で叩きのめしたり、皇帝と皇后の首に闇の力を巻きつけて脅せば、みんな私の言いなりになった。

 気付いたら皇太子も皇女もいなくなっていたけど、私が女帝になったからもう皇太子にも興味がなかった。

 一週間前には私の話を聞きつけたクリストファーがやってきた。ユーリエスを探してるうちに呪いをかけられたから、なんとかしてほしいと言ってきたのだ。

 私に呪いなんて解けるわけないけど、やっぱりここでも物語が変わってるみたいだったから、とりあえず手元に置いている。漫画では私を倒すキャラだから、近くに置いて見張っていた方が安心できる。

「へレーナ様、ユーリエス・フランセルは帝国中で指名手配となりましたので、捕えるのも時間の問題かと思われます」
「ふうん、じゃあ、捕まえたら私の前に連れてきて。いいこと思いついちゃった!」

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