悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 お父様の言いたいことはわかる。
 以前の私からは想像できない発言だろう。それなら言い方を変えよう。

「私は目が覚めたのです! 今まではクリストファー殿下をお慕いするあまり、仲良くされていた女性を自ら進んで排除してまいりましたわ。ですが、そんな狭量な女は王太子妃にふさわしくないのです! 排除したご令嬢たちに顔向けできませんので、このまま国を出て行きます!!」

 ここまで一気に言い切った。ついでに仲良くなったご令嬢たちから、浮気の証言をたくさんもらってあるからこちらも抜かりない。

「……ユーリエス。確かにここ最近は落ち着いたようだったが、婚約解消までしなくてもいいだろう?」
「いいえ、クリストファー殿下は変っておりません。これは前から考えていたことです」

 というか、人前に出たくない。ずっと引きこもってグーダラしていたい。前世で働きまくって死んだので、ここでは平穏にのんびりと暮らしたい。ていうか、破滅を回避するためにこれでもかというほど働いているから限界突破している。

 それにこの縁談は王家から打診されたものだ。こちらとしては忠誠心を示すために受けたが、王太子の度重なる浮気が原因なら、国王も納得してくれるだろう。

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