推しがいるのはナイショです!
「楽しみにしてたよ! チケットとれて嬉しくて! 服も新しく買って! いつもより念入りに化粧して! アリーナで、会えるの、すっごく楽しみにしてたのに……!」
 ぼろぼろと泣き始めた私に、立ち上がった久遠がゆっくりと近づいて来た。

「スマホでライブ中継見てたって! かっこいいな、って仕事にならなくて! 目の前で見られたら、もっと……って、悔しくて! 見たかった……会いたかったよ!」
「誰が?」
 久遠が、目線を合わせて囁く。

「誰が一番、かっこよかった?」
 私は、ぎゅ、と目をつぶる。
「久遠が! 一番、かっこよかった!」
「よし」
 声と同時に、思い切り抱きしめられた。

「うー……」
 なんかすごく悔しくて、涙が止まらない。こんな顔、見せられない。
< 64 / 75 >

この作品をシェア

pagetop