推しがいるのはナイショです!
「よ」
「久遠?! なんであんたがこんなところに?!」
 スーツを着た久遠が、どっかりとソファに座っていた。
 私の様子を見て、課長が目を瞬く。

「水無瀬さん、弟を知っているの?」
「弟?! コレが、課長の?!」
「コレとはなんだよ」
 ぶすくれた久遠が、座れ、と隣を示した。躊躇していると課長も勧めてくれたので、その隣に座る。課長は、前のソファに座った。

「知り合いだったのか? だから挨拶なんて言い出したのか。会議が終わっても残っているから、珍しくやる気出したんだと思っていたのに」
「まあね」
「どういうこと? 久遠」
「実は『五十嵐課長』ってやつに、ちょっとばかり心当たりがあってな。兄貴に聞いてみたら、お前をみつけた。しかもどうやら本社に連れてくるっていうんで、部下になるなら一言挨拶しておこうと」
 釘は早めに刺さなきゃな、と独り言のように久遠は続けた。

「部下?」
 よくわからない私が聞くと、久遠は、に、と笑った。
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