転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「ルカ、顔が怖いよ」

眉間にシワが寄っていたらしく、ルイに眉間を指でツンと押された。

「あ、ごめん。…あのさ、ルイ」

「どうしたの?」

「最近クレアとの距離を近く感じてたんだけど、また遠くなっちゃったな…」

楽しそうに話をしているクレアとアスター先生を見る。

「ルカ…」

あ、また目が合った。

「……なんか、アスター先生とよく目が合うんだよね。ルイはどう?」

「特には…。ルカとよく目が合うの?」

「うん。僕とルイはそっくりだから、遠目からだと見分けはつかないはずだよね?近くに来ないと僕の右手の甲にあるホクロと、ルイの左目尻のホクロは見えないのに…」

「そうだね」

「しかも今日初めて会ったばかりで、ホクロの違いの話なんてまだしていないし」

「……クレアからの手紙に書いてあったとか。でも隣人のそんなことを覚えているかな?」

ルイも考え込んでしまった。

「やぁ、君達はピアノがとても上手らしいね。流石クスフォード家のご子息だね」

「ッ!!」

びっくりした!
今まさに考えてた人が近くに来ていて声を掛けてきた!

「もう公演会での仕事もしているらしいね」

「出番は少しだけですが……」

「評判は聞いているよ。今度、私にも聴かせてほしいな」

「機会があれば、ぜひ」

なんだか、とても緊張する。
長年クレアの恋人だと思っていた人。
でも遠くに住んでいるからと、あまり実感がなかった人が目の前にいる。

「君達のことはクレアからの手紙に書いてあったから、初めて会う気がしないなぁ。会えて嬉しいよ、本当に…」

とても綺麗な微笑みだ。
僕はできれば会いたくなかったけど。

でもなんだろう。
その綺麗な微笑みの中に何かがあるようにも見える…。

「個展は今月いっぱいなんだ。君達にもぜひ来てほしいな」

また僕をじっと見てる!
僕、何かついてる?
キョロキョロと自分の服装を確認する。

「はい。ぜひ、伺いたいと思います」

僕が混乱している中、ルイが返事をしてくれた。

「お待ちしていますよ」

アスター先生はアリストロ伯爵のところへと戻って行った。



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