月へとのばす指
女性の秘部が濡れるのは、入り込んでくる異物からそこを守るための、生理的な働きもあるのだという。確かに彼女にとっては、久樹の舌も指も、初めて侵入する異物に違いなかった。
だが、これだけ濡れているのは生理的な反応だけではないと、こちらの愛撫に唯花が女として感じてもいるからだと思いたい。事実、彼女が甘い叫びを上げ、身をよじらせ、引き締まった太ももが震えるたびに、官能の泉は新たな蜜をあふれさせているのだから。
「あぁ──やぁっ、だめ、だめぇっ」
唯花の、足腰の震えが大きくなり、声が悲鳴混じりになってきた。経験から、達しそうになっているのだと久樹は察した。
潤った花びらの奥にある花芯を探り当て、唇と舌で食む。同時に指を、蜜の湧き出る口に差し込み、中身を掻き出すように膣壁に沿って動かす。
「あっ、あぁぁぁ! ああっ、だめ、やめてぇっ」
唯花が懇願するように叫ぶが、止める気はなかった。
あふれ出た蜜がとろとろと、割れ目を伝って臀部へ、シーツへと落ちていくのを指で感じながら、愛撫をさらに強める。
「やぁぁ、あぁぁっ────あ、あぁ、あぁぁぁ!」
びくびくと、唯花が背をそらして痙攣する。直後、泉からこぽりと音を立てて、蜜がこれまでになく大量にあふれた。
初めてで、こんなに感じて達するなんて。彼女のもともとの性質なのか、それともこちらの「技術」が彼女に合っていたのか。
どちらにせよ嬉しい、と久樹は思った。唯花が、自分の愛撫に反応して感じてくれたことには違いないのだから。
はあはあと、荒く浅い息をつく唯花の耳元に唇を寄せる。
「唯花、……そろそろ、挿れるから」
彼女は閉じていたまぶたを開き、久樹を見る。その目には新たな戸惑いと、本能的な恐れが浮かんでいた。
「大丈夫、痛いのは最初だけだから──絶対に気持ち良くさせるから」
請け負って、久樹は自分の下着を脱ぎ、枕元に用意していたものを手早く装着した。
広げられた、すらりとした両足の中心にもう一度触れる。ひくりと、その部分と彼女の腰の両方が震えた。自分が入るのを待ち望んでいるからだと思うのは、こちらの期待しすぎだろうか。
充分に潤った入口に、熱く立ち上がったモノをあてがう。恥ずかしそうに顔を覆う唯花の腕を外し、手のひらに指を絡めた。その姿勢で、ゆっくりと、腰を前に進める。