完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「高倉さんの好きなことが知りたい」
「私は一人でいるのが好きです」
我ながら社会不適合っぽい回答だと思いつつ事実なので仕方がない。
「そっか……。でもさ、誰かと好きなものを共有するのは楽しいよね。アイさんの歌だって一人で聞くより、一緒に感動を分かち合う人がいたら嬉しいんじゃないかと」
「そうかもしれないですね」
千紗の場合、ネット上ではあっても自分の演奏に熱狂してくれるファンがいるのは嬉しい。そういうことだろうか。
「俺は高倉さんと共有したい、楽しい事とか。悲しいことでもなんだって」
これは告白だろうか。鈍い千紗でもさすがに井村が自分を口説いているのがわかる。ただ肝心の千紗は井村がまだ苦手だった。
一緒にいるとそわそわして本当に落ち着かない。
そんな時、突然観覧車の動きが止まり、車内にアナウンスが流れた。