完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
食事のあと、なんだかんだ言いくるめられて、観覧車に一緒に乗ってしまった。高所は苦手だというのに。なんだか必死な井村を断りきれなかった。
「女の子が好きそうなお店と思ったけど、夜景とか興味ないよね」
井村がすまなそうに言う。
「いえ。嫌いってことはないです。私にも夜景がきれいだと思う心はあります」
「コンサートとかライブのがよかったかな。音楽好きでしょ?」
「え?」
井村にそんな話をしたことはない。
「アイさんが歌ってる時、すごい輝いた目で見てたから」
「アイさんが凄いからです。私は音楽とか全然わからなくて」
「じゃあ漫画は? アニメとか」
「亡くなった父が好きで一緒に見てましたけど……」
なんでこんな話をするんだろう。