完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

 泣きわめいていると、人がじろじろ見てきて、千紗も少し冷静になった。
 確かに井村のしたことはひどいが、彼がいなければ、ストーカー1号に殺されていた。
 今生きているのは、ストーカー2号の井村がいたからだ。
 それに病院で井村は確かに泣いていた。千紗が目覚めると小さく「無事でよかった」と呟いたのがまだ耳に残っている。

「帰ろう。謝るから。何でもする。許してくれるまで靴でもなんでも舐めるし、気が済むまで殴ってもいい。人間椅子でもサンドバッグでもなんでもなる」
「なんか会社とキャラ違くないですか。やっぱりマゾなんですか」

「うん。高倉さんになら何されてもいいよ」
「私を馬鹿にしてたんですか?」
「それだけは違う。最初は君のことが本当に心配で一回だけ連絡を取るつもりが、会社では冷たいのに、ネットだと素直に甘えてくれるから嬉しくなって……何度も言おうとしたんだけど、できれば対面で謝りたかったんだ」
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