完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

 誰にも明かしたことのない弱い部分、そして恥ずかしい本音、恋愛感情。
 絶対にこの人には、知られたくなかった。
 ──恥ずかしい。消えてなくなりたい。
 千紗は雨の中、泣きながら部屋を飛び出して走り出した。

「た、高倉さんっ! 駄目だよ。そんな格好で」

 着の身着のまま逃げたので、コスプレ姿に井村に借りた背広を羽織ったまま玄関を飛び出す。
 通りすがりの学生達が痴女だと騒ぐ。
 道路にうずくまり泣いていると、傘を持った井村が追いかけてきた。

「ごめん、ほんとに。土下座でもなんでもするし、慰謝料も払うから許してほしい」
「お金で人の尊厳は買えません」
「でもそしたら、借金減って楽になるでしょ」
「そんな惨めなことしたくありませんっ」
< 146 / 304 >

この作品をシェア

pagetop