完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

「私は床でいいです。固くて冷たいフローリングが大好きで」
「え……そんなわけないでしょ」
「あの、まずいです」
「今日はなにもしないから。きっと。しないんじゃないかな。あんなことがあった日に襲うとかさすがにない。ないと思う」
「何回も言われると逆に怖いです」
「布団一枚しかないんだ」
「私立ってても寝れます」
「いいや、そんなわけには」
 
 結局押し切られて、一緒に寝ることになった。優男風の顔をしているくせにやたら押しが強い時がある。
触れ合わないのは、狭いシングルベッドでは無理だった。千紗は壁のほうを向いて寝ることにした。
 背中に井村の体温を感じる。色々ありすぎて疲れているのに目が冴えて眠れない。病院で泣いていた井村を思い出す。あれは千紗の安否を気遣うあまりの涙だったのだろうか。
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