完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「むしろ遅くなってごめん」
「井村さん、……いややっぱりいいです」
「俺、こんな想いしたの初めてだよ。心の中、めちゃくちゃ。責任取ってよ」
後ろから抱きすくめられ、千紗は身を小さくした。
「もうさ、一人で頑張らなくていいから。辛い時は言ってよ。頼ってよ。傍にいるから」
「……っ」
息が止まりそうになる。顔を見ないで声だけ聞くと、やはり田吾作の声、話し方だった。どうして今まで気づかなかったのだろう。
辛い日々の唯一の支えで癒しだった彼と、実は顔見知りだったなんて。