完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「とりあえず、自宅は少しずつ整理しようかなって。そしたら父の借金は返せるので」
「うん……そうだな」
「あの、会社のほうにはやめるって挨拶に行こうと思います」
「君が決めたことなら、それでいいと思う」
「それで、家を売ったらどうするの」
「母の具合も悪いし、しばらく北海道に行こうかなって」
「…………」
井村の顔を見る。ショックを受けた顔をしていた。それを見て、言わなくてはいけない言葉を思い出す。こんなことを言うのは初めてだ。胸がドキドキしてきた。
「あの……帰るって言っても、一時的にってだけで、母が落ち着いたらまた戻ります。住むところとか、仕事とか何一つ決まってないんですけど……」
すうっと息を吸い込む。正念場。
「わっ、私、井村さんとこれからも繋がってたいっていうか……その、なんだろう」
「それって……」
「そのつまり、簡単に言うともっとお互いのことを知れたらいいなと……えっと色々なことを話したり」