完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

 タロの頭を撫でる。ここの暮らしは穏やかそのもので、疲れた千紗の心を癒してくれる。ストーカーとか、炎上とかもううんざりだと思う。
 このままずっとここにいて、プロの羊飼いになるのも悪くないかもしれない。
 流れていく雲が三味線のバチの形に見えた。
 いや、もう忘れよう。
 確かに心躍る瞬間もあったけれど、あれはもう過ぎたことなんだ。そうなんだ。
 
 ──井村さんとの関係もどうしたらいいんだろう。

ずっとこのまま通ってもらうのも忍びないが、東京に戻ってすることも浮かばない。仕事もやめたことだし、居候になるのはなんだか嫌だった。

「千紗」
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