完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「どうしたの?」
「井村さんが、シンガポールに行くって。口から水吐いてるやつがあるところ?!」
「ちょっと、落ちついて。マーライオンね。んで、どうしたの」
ライオンでもタイガーでもハイエナでもこの際なんでもいい。
「なんか私のこと置いてくつもりなんだよ。だってなんにも聞いてないもん。どうしよう。私が夜しつこいって怒ったから? 次から一日一回までって制限したから?」
「夜しつこいは知らないけど、あんな優男顔して井村さんたらそうなの? あらぁ。詳しく聞きたいから、今度ゆっくり教えて! 話は戻って千紗ちゃん、それでどうしたいの」
「わ、わかんない」
「わかんないじゃないでしょ。海外なんて行ったら滅多に会えないよ! それでいいのか。素直な気持ち! 高倉千紗の想いだよ。この鈍感娘は自分の気持ちすらわかんなそうだから」
「よくない。嫌だ」
「しんどい時そばにいてくれたのは誰? 楽しいことを共有したいのは誰? 幸せでいてほしい人は?」
「…………そんなの考えなくてもわかるよ」
ぐちゃぐちゃの思考をアイさんに交通整理してもらい、答えが出る。
「んじゃ、会いに行くしかない」
「うん」