完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「あの、これ? 高倉千紗って載ってますけど」
「あ、うん。勝手に載せちゃった。どうしても嫌なら断ってくれてもいいけど、半年くらいは説得しちゃうかもしれない」
「…………」
「え、ごめん。泣くほど嫌だった? 意外と俺粘着質で、でも本当に嫌なら強制はしない」
「い、いや……感極まってしまって。いつのまにこんなこと」
突然父が急死して、母の病気もあって、高校を退学したことを思い出した。
数少ない友人に別れも告げず、涙をこらえて、無言で校門を去ったあの日。
泣けなかったあの時の涙が、今になって流れてきた。
お金がなくて悔しい思いをした千紗だからこそ、こういうプロジェクトを井村が立ち上げていたことが嬉しかった。
「ごめんごめん、悲しいこと思い出させちゃったかな」
しゃくりあげる千紗の背を井村が撫でる。