完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
 高倉千紗とは大違いで、誰が相手であっても円滑に付き合い、雰囲気が悪くてもその柔らかな物腰とスマートな立ち振る舞いでその場を収めてしまうのだ。
その誠意ある対応に、却って会社の仕事が増えたほどだ。
会社では、これを井村マジックと読んでいて、なにか抜き差しならないトラブルが起きても、井村が必ず収めると守護神のように崇められている。
 それも狙ってやっているわけではない。天然のお人好しで、人たらしだった。
 この世で井村を嫌う人がいると思えないほどだ。本人に自覚がないのがまた憎い。

 人からどう見られるかを意識していないがゆえに、逆に好かれてしまうのだ。
 立花の営業成績が伸び悩んだ時も、井村はいつも立花が努力していることを知っていると言った。
 立花にとって、努力していることは隠すべきことで、あくまで涼しい顔でうまくいっているという体でいたかったが、井村が見ていてくれたという事実に感激した。運命の人だと思った。

 ──好き。世界中を敵に回しても、私は井村部長を手に入れる。
< 62 / 304 >

この作品をシェア

pagetop