完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

「お酒も遠慮なく。テキーラはないけど」
「……え?」

 千紗がいつも一人でテキーラを飲んでいることを、井村が知っていると千紗は知らない。
 千紗は抜けているので、気づくことはないと思うが自分が、田吾作だと匂わせたらどうなるか気になった。案の定、一瞬不思議そうな顔はしたが、すぐに忘れたようだ。
 アイさんは、高級なワインをがぶがぶ飲み、すぐにできあがった。

「この子、寂しがり屋なんですよ、本当は。傷つくのが怖くて人を遠ざけちゃうの」
「わかるよ。それに本当は情に厚い。心を許した相手には」

 うんうんと頷く。アイさんとやらは洞察力に優れている。
< 86 / 304 >

この作品をシェア

pagetop