完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「そう。山猫。人間のにおいのついた餌は受けつけない。手名付けるのも普通にやってはまず無理」
「山猫ってそうなんですか」
「知らん。想像」

 山猫の生態については、アイさんも知らないようだ。

「でもね、ずっと一匹で生きていたら寂しいと思わない? あの子は、本気の人嫌いじゃなくて、ホントは寂しいんだけど、傷つくのが怖いから独りでいるの……」

 酔っているのか目が据わったまま、手をテーブルの前で組んでアイさんは神妙に語る。

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