完璧上司の裏の顔～コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

「あれ、知ってるんだ。リアルでは絶対秘密にしてるって聞いたけどな」
「あ、俺が知ってるということは、彼女は知らないので」
「わかった。内緒にしとくわ。爽やかそうな顔して、結構千紗ちゃんに粘着してるのね。知らない振りして動画とかこっそりチェックしてるわけね」

　井村がむっつりすけべなような言い方だが、否定できない。

「なにがあったかは知らないけど、人間と関わろうとしないんだよねぇ。コラボもめちゃ拝み倒してやっと実現したの。私があの子の演奏に惚れちゃって」
「わかります。俺もそうだから。でもアイさんとは仲がいいんですよね」
「私がぐいぐい行ったから。それにあの子に似合うコスプレとか色々アドバイスしたしね。コラボのおかげで私たち二人とも一気に登録者数が伸びたんだよね」
「どうしたら高倉さんの心を開けるでしょうか」
「犬系女子と猫系女子がいるとしよう。千紗ちゃんは完全に猫。野良猫タイプもいるけどあの娘はそれすら超えた山猫。人間のいる里にはまず降りてこない」
「や、山猫ですか……！」