聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「ほら、一応翠の彼氏なんだし…行ったげな?」
「で、でも…ちょっと話しかけにくいよ…」
紫呉さんの容姿はいつ何時だって人目を引くから、一緒にいると私まで注目を浴びることになる。
仕方ないことだとわかっていても、やっぱり抵抗を感じてしまうのだ。
「それに私、高校まで来て欲しいとは一言も言ってな───」
「翠は、俺に会いたくなかったんですか?」
「っひゃあっ…!!?」
突如として聞こえた、甘く響く低音。
背中がゾクリとする感覚に、身体を震わせた。
「俺は翠に会いたくて仕方がなかったというのに…寂しいことを言いますね?」
憂いに満ちた面持ちで私を見つめる紫呉さんがすぐそばにいて、周りがより一層ザワついた。
「っ、!?し、紫呉さ……」
もう、今は周りを気にしていられない。
目の前にいる紫呉さんから、目が離せなくなってしまっている。