聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「聞こえてますよ」
一瞬だけ考えて肯定しようと思ったけど、紫呉さんの声が聞こえて口から出てこなかった。
「地獄耳ですか」
「耳がいいと言って欲しいですね」
この感じ、前もどこかで聞いたことあるような…。
なんだか既視感のある会話を不思議に思っていると、彩那ちゃんが私から離れた。
「じゃあ、私これから用事があるので。翠、また明日ね」
「あ、うん!ばいばい…!」
そういえば、ずっと引き止めたままだったかもしれない。
少し悪いことしちゃったかな…と、またもや反省。
「翠、俺たちも行きましょう。みんなが待っています」
「は…って、え?みんな…?」
紫呉さんの口から出てきた複数形の表現に、こてんと首をかしげる。
「今日は集会なんですよ。この機会に、翠を紹介させてください」
「え…ええっ!?」