聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「へ…?わ、私が……ですか?」



そんな提案をしてきたものだから、戸惑ってしまう。



今日は紫呉さんの香水を買いに来たんじゃ…?



「このムエットを使えば試せますよ。少し待っていてください」



「あ、ありがとうございます…?」



紫呉さんは慣れた手つきで近くに置いてあった細長い紙を一枚手に取り、その紙にラベンダーの香水をワンプッシュした。



「…こんな感じでしょう。もし他の香りも試したかったら、嗅ぐのは一回にしておくことをオススメします。あまり嗅ぐと分からなくなってしまいますから」



「なるほど…わかりました。ありがとうございます」



手渡してもらった紙を数秒間まじまじ見つめて、恐る恐る鼻に近づけた。



「っ…!!」



瞬間、ラベンダー畑にいるような錯覚に陥る。



花特有のフローラルさの中に感じる柔らかな甘みと爽やかさ。
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