聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
顔を上げれば、互いの視線と視線が交じり合う。
余裕のなさそうな表情をする紫呉さんの瞳が、私を見つめて離さない。
「…っ、いくらなんでも、可愛いがすぎますよ。男の理性なんてものはないも同然だって、パパとママに教わりませんでしたか?」
「っ…!!」
彼の低い声が響く度、背中がゾクリと甘く痺れる。
まるで、魔法をかけられたみたいに動けなくなってしまうの。
「…人がいないからと言って、こんなところで狼になりたくはない。翠の前では、なるべく紳士でいたいんです」
「し、ぐれさ…」
「お願いですから、あんまり可愛いことを言わないでください。翠の可愛い台詞を聞いて、毎回我慢するこちらの身にもなってもらいたいくらいですよ。ここが外じゃなかったらどうなっていたことか…」
私の呼びかけが耳に入っていなかったのか、我慢ならないといったふうに話し続ける紫呉さん。