聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

まだ言い争いをしている二人の方が見てて和む気がする…。



私は私で一安心していたら、紫呉さんが何か思い出したように「あ、そういえば」と仁さんに向き直った。



「ゼラニウムの香水って置いてませんか?」



ゼラニウム…って、たしか『Nova』を目の敵にしているっていう暴走族のメンバーが付けている香水の匂いだったよね…?



…あ、そっか!



前に紫呉さん、私がそのメンバーに出会ったらすぐ分かるように、香水屋さんに行ったらゼラニウムの香りを教えてくれるって言ってたっけ。



それを覚えていてくれたんだ…と嬉しくなって、しっかり覚えて帰ろうと意気込んだんだけど。



「ゼラニウムだぁ…?なんでまたそんな…」



仁さんは眉根を寄せて、思いきり顔をしかめた。



あれ……仁さんはゼラニウムの匂い嫌いなのかな…?



あからさまに嫌そうな顔をする仁さんに、私は首を傾げる。
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