聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「まぁ、知っておいて損はねぇから。しっかり覚えて帰れよ?」
「はい…!」
私が返事をすると、仁さんはニカッと明るい笑みを浮かべてくれた。
最初こそ緊張したものの、もう打ち解けることができた気がする。
紫呉さんの先輩だということもわかったし、今ではすごく頼りになる存在だ。
「仁さん、ムエットもらいますよ。あと、その香水取ってください」
「ん?あぁこれな。ほらよ、あんまり付けすぎるんじゃねぇぞ?」
「だからわかってますって。誰も好き好んでそんな何滴も付けませんよ」
二人はまた何やら言い合いをしながら、さっき紫呉さんがラベンダーの香水で香りを試させてくれたように、ムエットを使ってあの作業をしている。
…やっぱり、香水を持ってる紫呉さんってかっこいいなぁ。
今回も任せっきりで申し訳なくなりつつ、何をしていても様になる紫呉さんに見とれてしまう。