聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「はい、できました。嗅いでみてください……翠?」



上の空になってしまっていた私は紫呉さんに呼ばれて、やっと意識が戻ってきた。



「す、すみませんっ…ありがとうございます!」



う…私、いつになったら紫呉さんに慣れることができるんだろう…?



「ふっ、変な翠ですね」



地味に落ち込んでいる私を、可笑しそうに見て微笑する紫呉さん。



っ…もう、本当に好き。



一日に何度も「好き」って気持ちが溢れる日が訪れるなんて、夢にも思わなかった。



この気持ちを教えてくれた紫呉さんを、心の底から大事にしたいと思う。



いつも私に対してしてくれているみたいに、同じものを返したい。



…そのためにも、私がもっと紫呉さんに迷惑をかけないようにいろいろ努力しないと。



改めてそんな決意をして、渡されたムエットをゆっくり鼻に近づけた。



どんな匂いなんだろう?と、ほんの少しだけ香水への期待があったからかもしれない。
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