聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
文字通り顔を真っ青にして私の心配をしてくれている。
「斗真、さん…」
どうしよう…すごい心配させちゃってる…よね。
なんとか気分を持ち直さないといけないのに、そう簡単には変えられない。
「…翠ちゃん、時間まだ大丈夫?」
何も言えずにいると、その場にしゃがみこんで目線を合わせてくれた斗真さんが小首を傾げた。
たしか、今日はお母さんもお父さんも帰りが遅いらしくて、あーちゃんも友達の家にお泊まりだった…よね。
しばらく考えてから、こくんと首を縦に振る。
「よし、じゃあ予定変更な。ちょっと寄り道して帰ろ」
ニカッと笑う斗真さんは、夕刻の暗さに負けないくらいに明るかった。