飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「!」



 すると突然、横から飛びついてきた、猫。

 

 ボフンッ!


「っ、はぁ、はぁ、」


 息を切らした(しん)が、私を抱き寄せた。


「……っ」

 
 びっくりし過ぎて、声が出ない。

 (しん)が飛びついてきたのはドアを開ける前、家の中からじゃなく、外側からだったから。

 それに、全身が濡れている。
 
「ったく~……!」

 
 (しん)はギュウッと腕の力を強くして、私のこめかみに自分の頭を少し痛いくらいにグリグリと押し付ける。

 その髪は私と同じくらいびしょびしょだ。


「うっ、なっ、?」


 そのグリグリから、溢れんばかりの(しん)の心配が伝わってくるみたいで。


「っ……、」


 私の肩を抱く腕の力強さに、胸がギュッとなる。

 そのとき、どこかの部屋の扉が開く音がした。

 (しん)が瞬時に私から離れ、玄関の扉をあける。

 
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