【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
 最前線で騎士を率いるシリウスは、ひどい怪我を負っていた。頬や腕、足には裂傷を負い、至るところから血が滴っている。

 ミーティアを倒そうと必死に剣を振るうが、再生する茨に阻まれる。

「アデル!」

 こちらに気付いたシリウスが、私の元に駆け寄ってきた。
 

 傷だらけの姿に、涙がにじむ。私の大切な人をこんな風に痛めつけるなんて――。

「ひとつ、お願いがあるの」

 私はシリウスにとある策を提案した。けれど険しい顔で「駄目だ」と否定されてしまう。

 それでも必死に懇願すると、シリウスはしばし考え込んだあと渋々頷いた。

「ライアン、騎士を率いてここの守りを固めろ。ソニア、アデルを頼んだ」

 任されたライアンとソニアが力強く頷く。シリウスは剣を手に走り出した。


「あなた、なんて醜いの。まるで化物ね!」
 私はミーティアへ向かって大声を張り上げた。
 
 あえて挑発的に言えば、ミーティアは恐ろしい形相でギロリとこちらを向いた。

「……今、何て言った?」

「醜いって言ったのよ。もはや聖女のカケラもないわね」

「は? うるさい……うるさい……うるさい! あたしは黒薔薇姫! この世界の主人公(ヒロイン)なんだよッ!」

 すべての茨が、炎が、異能が、私に襲いかかる。
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