堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

 詩朗くんはわたしの耳元でとろけるような甘い声でそっと囁く。

「……!?」

 わたしの体温が一気に上がる。

 とくん、とくん、と早まる鼓動。

 今まで“羽希ちゃん”だったのに……いきなり、呼び捨てって……!!
 し、し、しかも、好きとか……ど、どうしたら……。


「僕、明日絶対蓮翔に勝つよ」
「だから、ちゃんと見てて欲しい」


「詩朗くんっ……」 


 詩朗くんは蓮翔とは違う。

 蓮翔みたいにいい加減じゃないし、
 口軽くないし、チャラくないし、女たらしでもない。

 真面目で優しくて一生懸命で。

 もしも、詩朗くんの彼女になったら、きっと誰よりも大切にしてくれると思う。

 だけどわたしの頭には、あの憎たらしくてブサイクな蓮翔の顔が浮かんでいて。

 なんでなのか、よく分からないけど……。 
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