私のボディーガード君
ファーストキスの味はほろ苦いコーヒーの味がした。

三田村君、私が帰ってくる直前に飲んでいたのかな?

唇を離すと、黒い瞳が丸くなっていた。

そりゃそうだよね。

「ひ、妃奈子さん」

三田村君の驚いた顔、可愛い。
とんでもない事をした自覚はあるけど、それ程気にならない。

酔ってるからかな?

「言っておくけど、今の私のファーストキスだからね。34年間取っておいたんだからね」

なんて恥ずかしい事をカミングアウトしているんだろう。

三田村君が困ったように眉間の間にシワをつくる。

「妃奈子さん、酔ってるんでしょう?」
「酔ってるのかな? なんか今、ふわふわして気持ちいい。今だったら何でもできる気がする」
「酔って気が大きくなっているんですね」
「うふふ。私は無敵よ」
「妃奈子さんは実は肉食なんですか?」
「肉食? そうね。お肉は好きよ。そうだ。明日は焼き肉行こうかな。A5ランクの黒毛和牛が食べたい」

三田村君がはぁーっと疲れたような長いため息をついた。

「俺の言った意味、全然伝わってませんね」

組んだ膝の上で頬杖をついた三田村君が恨めしそうな表情でこっちを見る。

「俺の事、忠犬だと思って手を出すと噛み付く事もありますからね」
「噛みつく? お行儀のいい三田村君が噛みつく事があるの?」

ケラケラ笑うと三田村君が「もう、この酔っ払いが」と呟いた。
そんな三田村君が可笑しい。あはは。なんか楽しくなって来た。

「妃奈子さん」
笑っていると、いきなり肩を掴まれて、ベッドに押し倒された。
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